【CDアルバムレビュー】静かなる狂気。狂熱の速弾き紳士John Mclaughlin【ジョン・マクラフリン】

2018年4月12日Musicおすすめ記事, ジョン・マクラフリン, 余裕派の一家言

オヤオヤ、なぜ貴方はこんなページを開いちまったんでしょう。

もし貴方が通り一遍、フツウのギタープレイをご所望ならこれから私がご紹介するギタリストは貴方の要望には応えてくれませんでしょうナァ。

…ハハァ、それは私の思い違いだとおっしゃる。
では貴方はモノスゴイ演奏、つまり常軌を逸した狂人じみたような演奏に触れてみたいと…。

ホウホウ、それならば今から私がご紹介するギタリストに貴方はキット、満足するこのでしょうなァ。

エ?その方の名前を教えてほしいと?

ハイハイ、ただいま…。エーその方の名は、ジョン・マクラフリン(John mcLaughlin)様と申されまして、それはそれはモウ大変な…ギタリストなんですよ。ホホホ…。

というわけでアホな前置きはさておいて、今回私が紹介するギタリストは、マハヴィシュヌ・オーケストラの中心人物であり、マイルス・デイヴィスやパコ・デ・ルシアなどとの共演で知られるスーパーギタリスト、ジョン・マクラフリン(John McLaughlin)でございます。

ギタリスト、ジョン・マクラフリン(John mcLaughlin)とは

ジョン・マクラフリン(John mcLaughlin)は1942年イギリス生まれ、ロンドンでスタジオミュージシャンとして、そのキャリアをスタートさせます。

60年代の豊かな音楽に育てられたマクラフリンはそのまま69年に初のリーダー作を発表、トニーウィリアムス・ライフタイムなどに参加、そしてジャズの帝王マイルス・デイヴィス(Miles davis)の「イン・ア・サイレント・ウェイ(In a silent way)」でマイルスバンドに初参加。一気にその名を世界に轟かせます。

その後も度々マイルスのセッションに参加しますが、1971年にマクラフリンは自らのバンド「マハヴィシュヌ・オーケストラ」(以下、マハヴィシュヌ)を結成します。
このバンドは当時最先端であるジャズ・ロックバンドの代表の一端として大きな成功を収めます。

マハヴィシュヌは1975年に解散してしまうのですが、マクラフリンはよりディープな音楽を追求するためにインド人演奏家と「シャクティ」というバンドを組んだり、アル・ディ・メオラ、パコ・デ・ルシアと「スーパーギタートリオ」を組んでみたりと、色々な形態での演奏でその感性と腕前に更に磨きをかけ、今日に至るわけであります。

多くギタリストに尊敬される独特なプレイスタイル

現代最高のエレキギタリストであるジェフ・ベック(Jeff beck)をはじめとして、多くのトップギタリストはマクラフリンのプレイを尊敬しています。

まず最大の特徴はその速さでしょう。
マクラフリンの目(耳?)にも留まらぬ速弾きは、ギタリストのテクニックの向上がめざましい21世紀になった今でも、未だ新鮮さを失っていません。
何故ならマクラフリンのプレイは、ただスピードが速いだけではないからです。

マクラフリンのプレイの個性は、全ての音がきちんと音が整理されていない所です。
つまり、ミストーンや外した音が散見されるわけなのですが、これが何とも人間臭く、技術よりも勢いと精神性で音楽をしている証なんですね。
音源によってはかなりメチャクチャなプレイもあります。ですが、マクラフリンの音からはいつも、誠実さと情熱、そして狂気が感じられるのです。
そこが、多くのギタリストやリスナーを惹きつけてやまない彼の魅力なのです。

また、マクラフリンはマハヴィシュヌの2nd以降は特に、インド音楽に深く傾倒していきます。
その独特の音階やリズムは、マクラフリンのプレイに個性と神秘性を持たせました。
とはいえ昨今のワールドミュージックのようなイージーなものではなく、彼の目指したのはあくまで精神性と深く繋がった音楽だったのです。

ジョン・マクラフリン(John mcLaughlin)の名盤

ここからは、ジョン・マクラフリン(John mcLaughlin)の名盤を紹介していきます。

 内に秘めた炎 The Inner Mounting Flame(1971年)

マハヴィシュヌの記念すべき1stアルバムです。ビリー・コブハム(Billy Cobham)、ヤン・ハマー(Jan Hammer)、ジェリー・グッドマン(Jerry Goodman)等の凄腕ミュージシャンが集まって結成されたマハヴィシュヌ・オーケストラ。
今作はその実力とテンションの高さで異常なまでにブッ飛んでいます。
緻密なアンサンブルというよりは、個々が持てる全ての力を出しあって、それが偶然アンサンブルになっているという有様。
マクラフリンのプレイはかなり凶暴で、脳髄をグワングワンと揺さぶるようです。
2ndの「火の鳥」が一般的には有名ですが、私はインド音楽に傾倒する直前の、この勢いで攻めまくる狂気じみた1stの方が好きです。

エメラルドの幻影 Visions of the Emerald Beyond(1975年)

こちらはマハヴィシュヌの5枚目。
メンバーが大幅に入れ替わり、ドラムはナラダ・マイケル・ウォルデン(Narada Michael Walden)になっています。
私としては、今作がマハヴィシュヌの集大成。
インド音楽の影響は、スケールの大きさと深さを与えてくれたようで、1stの頃のような、半狂乱の演奏はここにはありません。
ですが、作曲や演奏の完成度はかなり高いです。
荒々しいプレイだけではない、マクラフリンの才能を感じることができる名作です。

シャクティ・ウィズ・ジョン・マクラフリン Shakti(1975年)

インド音楽である。
ここでのマクラフリンはアコースティックギターで実に真っ直ぐなギターを弾いています。
アコースティックになっても見事なテクニックと、音楽への誠実さは、ライブ盤という事も手伝って、どこまでいっても澄み渡る青空のようです。
ジャズ・ロックならずともインド音楽に興味を持たれた方は是非、聴いてみてください。

トリオ・オブ・ドーム Trio of Doom(1979年録音)

ライフタイムやマイルスバンドで一緒だったトニー・ウィリアムス(Tony Williams)、と不世出のベースプレイヤー、ジャコ・パストリアス(Jaco Pastorius)との超絶トリオ。
こちらもライブ盤なのですが、演奏が崩壊しかけています。
ですが、ほとばしる三人の霊感がこの演奏を何か特別なものにしていると思うのです。
マハヴィシュヌとはまた違う、一流がアンサンブルを崩壊させる寸前の美学を感じてください。

フライデイ・ナイト・イン・サンフランシスコ〜スーパー・ギター・トリオ・ライヴ! Friday Night in San Francisco(1980年)

言わずと知れたアル・ディ・メオラ(Al Di Meola)、パコ・デ・ルシア(Paco de Lucía)とのアコースティックギタートリオです。
三人ともとにかく超絶。緊張感も尋常じゃないです。
私は特にパコ×マクラフリンの曲が大好きです。
トリオの可能性とアコースティックギターの美しさや力強さを惜しむことなく表現した名盤です。

さいごに

アハアハアハ…。

どうでしたか?

静かな狂気を持つ灼熱のギタリスト、ジョン・マクラフリン(John mcLaughlin)の魅力が少しでも伝わったなら、嬉しいです。

70年代のジャズロックって本当に個性的で面白い人達がたくさんいましたね。

同時代の音楽や映画など、色々書いていこうと思いますので、みなさんどうぞよろしくお願いします。